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めぐりめぐる。

落語や漫才を見るのが好きです。エンタメ系の記事を中心に、幅広く書きたいことを綴るブログです。メールでのお問い合わせはこちら「infomeg2@gmail.com」

映画「アンドリューNDR114」感想

暮らし 映画

はじめに

今日は「アンドリューNDR114」を見た。15年前の映画だ。

 

映画「グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち」や、「ジュマンジ」でお馴染みのロビンウィリアムズが主演で出ている。彼はコメディアンとしての評価も高いけど、味わい深く愛情の篭った演技も非常に魅力的で、彼の青い瞳を見ているといつも心が温まり、思わず顔が綻んでしまう。ああ、一年前に彼が亡くなってしまったのが非常に残念だ。

 

あらすじ

主人公は、「NDR114」と呼ばれるロボットだ。人に造られた量産型の人型ロボットなんだけど、彼は生まれながらにして「個性」を持っていた。機械なのに「命」が尊いことを理解して動物を大切に扱ったり、「創造性」を発揮して人間のプライドが傷ついてしまうような立派な作品を作ったり、「好奇心」旺盛で、人のジョークや生き様を理解しようとする。そんな変わったロボットだった。

 

彼はアンドリューと名付けられて、家族同然に育てられる。元々素質があったアンドリューは知恵を身につけ、自分という存在は何かということを考えるようになった。たくさんの本を読むことで彼は自分が不自由であることに気づいた。自分が自由になるのは「命令と命令の間」だけ。彼は自由が欲しかった。そして彼は家族の元を離れて暮らすようになる。

 

彼は服を着たり、自分の表情を表現することを望んで、自分の身体を人間に近づけていく。彼は人間になりたかった。人間として認められたかったからだ。

 

彼はロボットなので歳を取らない。死ぬということがないから、時間に制限はない。制約もない。永遠に学び続け、生きていくことができる。でも周りの家族、「人」は歳を取り、やがて死んでしまう。その悲しみを、もっと表現できたらいいのにと彼は思う。

 

彼はやがて一人の女性を好きになる。そして、めでたく結ばれることになる。でも、社会から結婚を認められることはなかった。「ロボットは永遠に死ぬことはない、永遠に死なない物を人間として認めることはできない」そう言われてしまうが、彼は諦めなかった。

 

最後には、身体を人間に近づけるために「人間と同じように時間が経つと劣化していく肉体」に自らを改造して、歳を取っていくようになる。永遠に死ぬことがないというロボットの特徴を捨て、自ら死ぬことを選択することで己の人間性を主張する...。

 

 感想

もう10回ぐらいこの映画を見た気がする。物語に大きな盛り上がりはないけれど、淡々とした時間の経過の中でアンドリューの心の成長を眺めていられることに幸せすら感じる。

 

「ロボットには永遠の時間がある」というのが大きなテーマなんだよね。時間に限りがないから、どんなことでも成し遂げられる。アンドリューは(ロボットとは言え)勤勉で優秀だったから、人の領域を超えたもの...例えば人が長生きできるような装置を開発して大きく社会に貢献した。臓器を入れ替え、新しいDNAを注入すればどれだけでも長生きできる技術を開発することができた。

 

でも、アンドリューが愛した人はそれを(全てではないけれど)拒んだ。「人はいずれ死ぬ、それが人間というものよ。私はそれでいい」と。彼はその言葉に面食らうんだよね。「君は死にたいのかい?」って。でも、アンドリューはそんな恋人も受け入れて、やがて自分も「人間として」死ぬことを受け入れる。ロボットとして生き続けるのではなくて、人間として死ぬことを選ぶ。それはどんな気持ちなんだろうね。でもきっと穏やかで、安らかで、温かみのある、愛情の篭った選択だったんだろう。

 

アンドリューは自分が社会的に人間として認められる前に死んでしまう。でも死んだ時の彼の顔は、認められなくて悔やんでいる顔ではなくて、とても安らかな顔だった。ああ、やるべきことはやった。やっと終わったな。そんな顔だ。目は閉じているけれど、優しく微笑んでいて、満足気だ。ロボットだった君は、表面的に人間の身体を手に入れて、悲しみが表現できなかったから感情や触覚を身につけて、今度は人間として認められたいから死を受け入れて...。頑張ったね。安らかに眠ってね。200年生きた「人間」として、あなたは人の心に刻まれるでしょう。本当に、お疲れ様を言いたい。

 

 ロビン・ウィリアムズさんへ

今日この映画を見たことで、僕の心の中にぽっかりと穴が空いてしまいました。ロボットが少しずつ人間として成長していく葛藤を、あれだけ愛情深く表現できるあなたはすごいですよ。ロボットとしてプログラムされた感覚と、人間に近づきたいと思い努力していく過程の中で身につけた感情を、上手に汲み取って演じることができる人なんてそんなに多くないと思います。

 

ロボットとして苦悩する時の怒りや悲しみ、喜びや戸惑いを、時にユーモラスに、時に慈愛を持って、まるで本当にそんなロボットがいたかのような輪郭を残すことができている。ロボットはどこまでいっても人間にはなれない...そんな諦めや惨めな想いも、甘美で愛おしく感じられ、ロボットが生きるということに深みを与えている。そんな風に感じさせる演技でしたよ。

 

なんであなたは死んでしまったのですか。映画を見た後、あなたの澄んだ青い瞳を思い出すだけで涙が止まりません。生きている間にあなたに一度でいいから会ってみたかったです。どんな体験をし、どんな人と出会い、どう生きればあなたのような素晴らしい俳優になれるのか聞いてみたかった。でもそれはもう叶わないのですね。あなたの出ている映画をたくさん見て、自分で考えるしかないですね。いつか答えが出るまで、考え続けようと思います。ありがとう。本当に、ありがとう。