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めぐりめぐる。

落語や漫才を見るのが好きです。エンタメ系の記事を中心に、幅広く書きたいことを綴るブログです。メールでのお問い合わせはこちら「infomeg2@gmail.com」

思考停止している僕と美容師

仕事 美容 雑記

ここ一年間くらい同じ美容院にしか行ってない。自分にとって一番良い環境を見つけていくためには同じ場所にいてはいけないかもしれない。ヤドカリのような柔軟なお引越しが必要なんじゃねえの?そう思って美容院を変えてみたら大失敗した。

 

平日2500円、休日3000円でカット。安さに思わず飛びついてしまった。自ら安かろう悪かろうの世界に飛び込む。いっそ1000円カットの方が良かったかもしれない。
 
店に入ると、受付の姉ちゃんが「初めてですよね?こちらにご記入ください。」と紙を渡してきた。僕は今日店に来たことが初めてあることも、あらかじめ予約していることも一切伝えていなかったのだが、有無を言わさぬような雰囲気で処理が始まった。なんだか決めつけられているみたいで不愉快だった。店が忙しかったようで、何となく姉ちゃんの不機嫌な感情が伝わってきてイライラした。子供の頃、友達の家に遊びにいった時に、息子の友達の来訪が嫌な母親のプレッシャーというか、歓迎されていない感じがモロに出ていて、居心地の悪さを感じずにはいられなかった。
 
席に案内されると、いかにもヤンキーですみたいな、窪田正孝の顔面を三回ぐらい殴ったらこんな面になりましたよって感じの日焼けした兄ちゃんが出てきた。カットでよろしかったですかぁ?と聞かれたので、良いですよと僕が答えると、「はい?よろしかったですか?」と何度も言ってくるので、「カットで!!!」とはっきりと答えなければいけなかった。ですかですか五月蝿いんだよもう、ブックオフかお前は。
 
(髪の)長さはどうしますか?と聞かれたので、「短めでお願いします」と僕は答えたのだが、想定外のセリフが返ってきた。「バリカン使う感じっすかね?」断っておくが、僕は今のブログのアイコンのように割と長めの髪型をしていて、どう好意的に解釈してもバリカンを使って髪を短くするようなタイプではない。「いやいやいやいや、全体的に短く切ればいいよ」と僕が答えると、兄ちゃんは困惑していた。僕も困惑していた。短くしてくれって言われたらたぶんこの兄ちゃんは毎回「バリカン使う感じっすかね?」と言っているのだろう。たぶん僕の前にこいつにカットされた人はみんな不安に感じただろうなと思った。
 
髪の毛を流してもらっていると、執拗に兄ちゃんはしゃべりかけてきた。
「今日は休みっすか?」
「なんかお疲れっすかね?」
「いつも何時に起きるんですか?」
「へえー今日は何時に起きたんですか?」
質問攻めだった。もう放っておいて欲しかった。
 
カットが始まると、今度は執拗に僕の髪に霧吹きで水をかけ始めた。僕は26年間生きていて、顔のあらゆる部分から水が滴るまで霧吹きを美容院でかけられたことがない。みんな経験ある?たぶん50回くらい吹きかけられてたと思う。べたべたになりながら、僕は髪をカットされていった。
 
不機嫌になっていく僕を見て、兄ちゃんがフォロートークを始めた。「お兄さんのスマホ、カッコ良いですね!」と持ち物を褒め始めた。しかし僕のスマホはAndroidOSのZenfone2で、何もしていないのに再起動はするわSDカードは頻繁に外れるわ動作は不安定だわでクソな端末なので、より一層僕の機嫌を損ねる結果になった。ちょっとかわいそうだったので、兄ちゃんにはiPhoneを買うべきだよと一言アドバイスをかけた。
 
カットが終わり、料金を支払う時に現金がないことに気づいたので「カードでも大丈夫ですか?」と僕が言うと「ああ、お金ない感じっすかね?大丈夫ですよ!」と彼は言った。いちいちこいつの言うことは面白いなあと僕は思った。「お金ない感じっすかね?」怒る気力も起きなかった。
 
店を出ると、深々と兄ちゃんは頭を下げて、僕を見送ってくれた。誰かが指摘するまで、ずっとあんな感じなのかな。いずれ厳しく言ってくれる人に出会えるといいね、と僕は思った。ダメなところを指摘してあげる義務は客にない。客商売は厳しいなと思いながら、背中に感じられる視線から僕は遠ざかっていった。